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真治は懐から携帯を取り出して玲央に電話を掛けようとして、今が夜中だったことに気付き手を止めた。
きっと玲央はもう寝ているだろう。
明日は黒川へ行く日だからな。
俺も早く寝て朝イチで帰らないと……。
明日の黒川へ顔見せが上手く行けば、玲央が澤倉の後継であると黒川の後ろ盾も得ることが出来る。
玲央が上手くやり遂げられるよう、横に居てしっかりサポートしなければと真治は心に誓った。
「坊ちゃん、板垣からスーツが届きました」
「ありがとうございます」
板垣さん、本当に二日でスーツを仕上げたんだ。凄いな……流石プロだ。
玲央は受け取ったスーツに袖を通した。
上質な生地が肌に馴染んで、初めて着るのにずっと着ていたような心地良さを感じる。
「大丈夫かな。七五三みたいに見えないかな……」
スーツなど着るのは初めてで、ちゃんと着こなせているのか自信が無い。
真治に見て欲しかったがまだ戻って来ていないようだった。
訪問の打ち合わせもしたいし、ここは央一郎に見てもらおうと玲央は部屋を出て央一郎の部屋に向かった。
「おや……玲央、支度できたのかい?」
「あ、勇吾さん。はい。スーツ着てみたんですけどどうですか?」
「いいよ。可愛い。凄く似合ってる」
スーツ姿が可愛いはヤクザとして正解なんだろうかと玲央は疑問に思ったが、勇吾が笑っているので玲央も微笑み返した。
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