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金曜日の夜、待合室兼休憩所に入ってきた長身の黒のスーツ姿にドキッと今日もときめいてしまった。
そんな彼の腕に小柄な女子が飛び付いた。
私は思わず目を丸くする。
「高橋さーん、今日も高橋さんが良かったのにー!もう帰りたい!」
猫撫で声を出す、顔の幼さと雰囲気からいっておそらく未成年の女子学生。
あの子、いつも高橋さんにあからさまにアピールをしている子だ。
でも流石に腕にくっつくのはやりすぎじゃない?
だって他の教習所の教官もいるわけで。
高橋さんを困らせている事に気付いていないの?
「仕事中なので離してくれないと困ります。橋本さん、気持ちは嬉しいですが、授業頑張って下さいね」
嫉妬も相まり眉間に皺を寄せていると、高橋さんが笑顔で大人な対応。
橋本さんは高橋さんの笑顔にやられたようで、頬を染めながら頷くと高橋さんから手を離した。
それを確認した彼はこちらに振り向いた。
「お久しぶりですね、星野さん」
「お、お久しぶりです、高橋さん。今日はよろしくお願いします」
私はファイルを抱えながら、軽く頭を下げた。
私も貴方の笑顔にやられました。
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