58人が本棚に入れています
本棚に追加
/217ページ
「そういえば、由紀子はどうしてシュウを振り続けたんだ?
普通の女子なら、シュウに告白されて断ったりしないだろ?」
由紀子さんは、すごくびっくりしたような顔をして、八重樫さんを、みつめた。
どこか呆れたような表情にも見える。
「……自信がなかったのよ。
さっき言った通り、沢渡君みたいに素敵な人と私が釣り合うはずないって。
それに女子にいじめられるかもしれないっていうのもあったし、そもそも、私…
いえ、とにかく、私には沢渡君は眩し過ぎたの。」
「ま、まさか。
由紀子さんはとてもお綺麗ですし、見た目的にも柊司さんとすごくお似合いだと思いますよ。」
「無理しないで。
沢渡君と似合うのは、芹香さん…あなたよ。
あなたたち、本当にお似合いのカップルよ。」
「そ、そんな……」
いやいやいや。
由紀子さん、一体、何を言ってるの?
私と柊司さんが似合ってるわけないじゃないですか。
まさに、提灯に釣り鐘、美男と野獣…?
「とにかく、まぁ、何事もなくて良かったよ。
シュウ…あとはお前の頑張り次第だな。」
八重樫さんは、悪戯な笑みを浮かべて片眼を瞑る。
柊司さんはちょっと困ったような顔をして…
(わ…!)
柊司さんと目が合って、私は思わず俯いた。
いい歳して恥ずかしいけど、どうしたら良いのかわからない。
あぁ、恋愛スキル低過ぎだ。
最初のコメントを投稿しよう!