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好きになるのと失恋が同時だなんて何でだろう。嫌になる。
「ちょうどグラウンドでサッカー部、練習してるよ」
「うん」
私は毎日学校に来ていたのだから見ていたはずなのに、全然目に入ってなかった。
「あの人だと思うよ。サッカー部キャプテンの諏訪先輩」
そちらを見ると、短髪で爽やかな人が目に入った。遠目でもわかる、バランスの取れた体型。確かにモテそうな人だ。
「……でも、さすがに彼女いるんじゃないの?」
「……うん、そんな気がするね。3年生だけど部活出てるってことは、進学のメドついてるのか、息抜きか……」
そう言って、チラリと私の方を見るので
「いや、大丈夫。そんな急にときめいたりしない」と、否定する。
「そうか、でも毎日見てると、これからはわからないよね」
「接点無さすぎる……」
そこからも私たちは、校舎裏のテニスコート、体育館と場所を移しては、あの時誉田が名前を挙げてくれた人を確認した。
「別に俺が挙げた人じゃなくても、清夏がいいなって思った人がいたら協力するよ」
誉田はピンときてない私にそう言ってくれたけれど、誉田が横にいて他の人を見られるわけがなかった。
「うん、何か不審な目で見られたね」
それはそうか、1年生ならまだしも2年生の
私たちがわざわざ夏休みに見学なんて。しかも部活じゃなくて好きになれそうな人を探すなんて邪心な見学だ。
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