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どんっ。
海に突き落とされたかと錯覚しそうな衝撃。
つまり、猛烈に逃げ出したい衝動が襲って来たという事。
「シフォン、ちょっと待って」
ハッ。
スルリと耳に入ってきた言葉でぶっ飛びかけてた意識が戻ってきた。
気がつくと、俺の手は扉の取っ手を握りしめている。
無意識って怖ぇ
冷静になって振り返ると、そこにはスマホを掲げてニヤリと笑う顔があった
「タクシー呼んだ」
「ナイス。お前最高」
「でしょー」
兎に角アレンを称賛しまくって、勢いのまま外へ駆け出した。
店内の明るい空気がまたもや崩れたのは言うまでもない。
「ありがとうございました」と、店員ならではの反射的な商売言葉だけが響きかけた。
だんだんと語尾が小さくなって聞こえなくなったけど。
「○○○まで!」
店の前の道路脇に止まっている車に駆け込みながら、アレンが行き先を告げる。
俺はというと、車に引っ張り込まれて、こいつの腹に鼻を打ちつけている最中。
「痛い、硬い」
「ごめんねぇ、腹筋割れてて」
「、、、しね」
「んふふ」
アレンの体を押しのけた後、体を起こして睨みつけた。
うざい。
和やかな雰囲気に包まれたまま、車は走り出した。
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