夏のマボロシ

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もう五年も前の出来事だ。 しかし僕は今も鮮明に覚えている。 僕の暮らす街に彼女がやって来た日の事を。 僕の暮らす街はある海沿いの温泉街で、 観光地として有名だった。 都市部からはやや離れているものの、 都会の喧騒から離れ癒しを求める人々が国内外から押し寄せては年中賑わう そんな感じの街だ。 町の人々は皆優しくも商売気とホスピタリティーに溢れている。 かく言う僕の実家も百年続く老舗旅館で、母は女将で父は観光案内人を勤めていた。
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