橘部長を観察したい!_2

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 結果的に、私は第一志望の商社に落ちた。その商社での私のリクルーターが、廊下で「あんなちびっこい女にうちの仕事務まんねーよ」と言っていたのを聞いてしまった。  身長とか性別は関係ないだろ。  勿論、落ちた原因はそれだけじゃないだろうけど、悔しくて、あいつらいつか仕事で見返してやりたいと思った。  そして、私は双葉から内々定を貰うことに決めた。  経団連の定めた採用選考解禁日に、各企業は入社試験や採用面接を始める。だが、大手企業総合職においては、ほとんどの場合、この日までに選考が終わっており、解禁日が内々定通達の日となる。  最終面接をクリアした会社は数社あった。その中で双葉を選んだのは、社風がよさそうだったこともあるけれど、私とっての一番の理由は「橘部長がいるから」だった。  なぜか観察したくなる。  同じ会社で橘部長を観察したい。  自分でもよくわからないけれど、それなら東京の生活も頑張れそうな気がしていた。
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