書物

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ある夏父の友人が持つ別荘を借りて休日を過ごすことになった。 二つある和室の一つには小さな書き机、その上には数冊の本が置かれていた 方言辞典、口伝綴りの題が記されていた本を手に取った。 口伝の書には見知らぬ方言で短い話が幾つか書かれていた。 方言辞典を捲りながら読み進んだ。 その話は鬼が来て村人に災難をもたらすと言うよくある内容だった。最後に朱印が押してあったがなんと書かれているのかは分からなかった。 お昼ご飯よ 母の声がした。 その夜 母にこの話を聞かせた。 数日後テレビで母の故郷に在るのどかな村で凄惨な事件が起こった事を報道していて、犯人も未だ見つかっていないらしい。 母はこの前貴女が聞かせてくれた話みたいねと言っていた。 それが気にかかったので、また本を取り上げ、今度は虫眼鏡を持ち出し、朱印をよくみたら、そこには"外伝無用" の文字が読み取れた。
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