愛姫

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すると、天音が口を開くより先に、凛太郎が反論した。 「彼女は……天音は、三年前から俺を見てくれていました。 そして俺自身、天音を好きになってから 天音以外と愛し合ったこともない」 「……私と現世で付き合っていた時間は 凛太郎にとって無かったことにされるわけ……?」 「——あなたは天音を人質を取り、俺を脅しました。 何かを引き換えにして愛を得ようとするのは、あまりにも幼稚な発想です。 愛情を得ることと命を人質に取る行為は 等価交換にはなり得ません。 ……どうか、あなたが気付いてくれたら良いのですが」 凛太郎がそう告げると、アリサは暫く黙り込んだ後、小さな声で返した。 「……そう。私が愛を得るために引き換えにするものが他人の命じゃダメだと言う話ならば——答えは簡単ね。 私の命を使えば、等価交換が成立するってことよね……?」 「!違います、今のは——」 凛太郎がアリサの解釈の誤りを正そうとした時には、遅かった。 「あははっ!分かった!分かったわ! 現世で『あなた』と結ばれないのなら、もう一度生まれ変わって『あなた』と出会えばいいのよ! 小次郎、私先に逝くね。あの世で待ってる——」
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