第三十八話 養蜂です

1/1
124人が本棚に入れています
本棚に追加
/99ページ

第三十八話 養蜂です

朝もやの中を、子供たちがヤギを連れ山に登ってきます。 「いってらっゃーい」 さて、クーパーさんは起きたかな? 「おはよう」 「おはようさん、こっちはいいぞ」 それじゃあ行きましょう。 「それはなんだ?」 「杉やヒノキの枝、できるだけ葉っぱのついたところがいい」 「生じゃ火が付かねえだろ」 「ほしいのは煙だけだからこれでいいんだ、見てて」 箱の下のほうに煙の上がる木を置きました、蜂が箱から出て行きます。 「おじさんこれ着けて、ミツバチに近寄る怖い大きい蜂も来るから」 「え?ああ、でかい蜂な、こりゃいいな」 でしょ、見える? 見えてるよ。 麻の織物を母さんが作るときに、もっとあらい目で作ってほしいと頼んだのがこの蜂除けネットです。 「開けるよ」 「お、おう」 箱を開けるとそこには黄金色のものが、それと蜂蜜独特の香りがします。 「おじさん、これで隣の板をはがすように切ってみて」 「なんだか変わったものだな」 「ただの銅板だよ、静かにね」 スーッと蜂の巣の中に剣のような長い板が入っていきます、私はこれを物差しと呼んでいます。 「外れたぞ」 「じゃあゆっくり持ち上げて、この桶に入れて」 結構重いなと言って板を取り出しました。 「中を取り出して、入れ物も傾けておけば落ちたのがたれてくる、二日ぐらいかな」 「はちみつをとったら巣は捨てるんだな、後、虫なんかはどうする」 「おじさん、もったいないよ、蜂の巣は捨てるところはないよ」 「え?でもこいつらは…」 「超美味、それ最高の酒のつまみ」 「う、ウソだろ?」 「よし、じゃあさ、叔父さんははちみつだけ取ったら、後の残りを箱ごと頂戴、そしたら新しい箱を叔父さんに渡す、どうかな、掃除もちゃんとしておくから」 「んー、まずはやってみねえとな」 今箱は二十ある、まずは五個、仕掛けて、まわしてみるのはどうだろう? 冬もできるのか? 暖かいところなら少しだけどできる。 私はふたをした。 「新しい枠は入れないのか?」 入れても作らない、このままのほうが大きくなるから。 クーパーさんはこれもいいな、あれもいいなとその辺にあるものにも興味を持ったみたいです。
/99ページ

最初のコメントを投稿しよう!