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この歴史にルカも組み込まれていく。国の代表として。もし、その時まで生きていたら――、そうルカが言っていた言葉を思い出す。戦がなくなっても、そう言った内部争いはもしかしたらどの国でもあるのかもしれない。
「――えっ、わっ!」
感慨深く浸っていたが、ふと顔をあげると目の前のソファに人影を見つけ驚く。ルカだった。足を組みソファに座り、俺をまじまじと見つめている。
「いつ気付くかと待っていたが、結局最後まで気づかなかったな」
「酷い! 声かけてよ。帰って来てたなら途中でやめたのに! いつ帰ってきたんだよ」
「入る時に声はかけた。でも、お前は熱中していて気付かなかった。俺のせいか?」
「・・・・・・う。ご、ごめん」
全く気付かなかった。俺、集中すると周りの声が聞こえなくなるタイプなんだな。これまで何かにこんなに集中したことなんてないから知らなかった。本に熱中するタイプでもなかったし、本なんてこっちに来るまで興味なかったけど。
「ずいぶんと字を読むのが早くなったようだな」
「う、うん。もう止まらず読めるようになった」
「すごいじゃないか」
「でも、言い回しとかよくわかんない言葉もあって、悩むこともあるけど」
それに関しては、言葉を知らないせいだろう。これまで本なんて読んでこなかったから難しい言い回しはよくわからない。
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