prologue

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「……んっ…ああ…はぁっ……」  クーラーの聞いたホテルの部屋、私は名前も大して覚えてないような男を喜ばせるために体を揺らしてる。  男のためとは言ったけれど、私自身この行為が嫌いなわけじゃない。肌の温もりが触れ合う瞬間は、私だって気持ちがいいし。 「……なあ、美晴。たまにはお前の顔を見ながら抱きたいんだけど?」  あーあ、この男も面倒くさいことを言い始めちゃったな。どの男も何度か寝ると必ずそう言いだすの、この男もそろそろお別れしなきゃね。 「だーめ!抱き合うときは必ず後ろからか、私が上になるかって約束でしょ?顔なんて見えなくったって気持ち良さは変わらないわよ。」  男の腹に両手をついて腰の動きを早くすれば、あっという間に達した様子。私は男の上から身体を移動させると軽く呼吸を整えてお手洗いへ。  本当はゆっくりシャワーでも浴びたいけれど、我慢。最低限の身体の手入れが終わるとソファーに置いていたバッグを肩にかける。 「美晴、今日くらい泊って行ってくれないか?俺、誕生日なんだぜ?」 「……それが、なに?セフレの私にはこれぽっちも関係ないことよね。それじゃね。」  まだ何か言いたそうな男をベッドに残して、私はさっさとドアを開けて外に出る。はあ、早く帰って思い切り身体を洗いたいわ。
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