第二十六章:血縁の柵

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 しかし大柄な体格で腕もそれなりに太いので、見ようによっては軽々と持っているようにも見えてしまった。 「おはようございます」  リシェはぺこりと頭を下げた。 「買い物をしてきたんですか?」 「ああ。食材の発注をやっていたと思ったら伝達出来ていなかったんだ。専門の伝達屋に頼んでいたんだけど、向こうはどうやら新人の子だったみたいで…卸屋の方に注文書が届いてなかったんだと。まぁ、こういう事もあるもんさ」 「そうだったんですか」  伝達屋というのも初めて知った。 「朝に物が届かないから、おかしいと思ってね。これでやっと用意が出来る。開店はちょっと遅くなったけどね。…飲み物位なら用意出来るよ、飲んで行くかい?」 「いいんですか?あまり手間の掛からないので良ければ」 「じゃあコーンスープをあげよう。前の日にしっかり仕込んでおいてるからね」  適当に座っておいて、と彼は一言言い残し店側へと去って行く。素直にリシェは店に近い席へ足を進め、空いている椅子に腰を下ろした。  良く眠れたとは思っているが、変に全身が怠い。  ロシュに抱かれた次の日は毎度このような感じなのだが、行為の後の回復の魔法を施されても怠さは抜けなかった。
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