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スマトラ王国の王様
冒険者の防具が売っている店でミーナの分も含めて購入して試着室で着替えた。他の冒険者達に目を付けられたく無いから二人共、ローブを羽織っている。金貨一枚と1000マネーで購入。
城に到着してから王の間までゆっくり歩かされる。王様の時間稼ぎご苦労様。そしてようやく国王の控える部屋の前に着く。
「カイゼル殿のご到着〜!」
扉が開いたら国王の前までスタスタ歩く。相手が促すまで席に付かない事は面接の練習で習ってる。1.5メートルほどの距離で王様を見下ろす形になってしまう。周囲がガヤガヤと騒がしいが王様がとても若い事に驚いた。二十歳くらいか?
「フム、若いな。」
お前もな。
「良く言われます。」
たしか今年で30才のはずだけど、若い?そう言えば以前の職種や両親の名前が思い出せない……!
「そろそろ席につきたまえ。」
「……何処に?」
全然分からない。ミーナなんかフードで顔を隠してるから声を使わない意思疎通が出来ない。なんかちょっと震えてる。
「話しが進まん、ミールよカイゼル殿を案内してその場その場で作法を教えるのだ。」
「はっ!」
ミールに本来の場所に誘導してもらって三角座りをしたら土下座させられそうになって必死に抵抗した。
「カイゼル殿、お手本が隣に」
ミールがそっと耳打ちする。ミーナは片膝をつき顔を伏せていた。それを見て真似をする。
「面を上げよ。カイゼル殿、レッドドラゴン討伐大義であった。もし討伐されて無ければ、我が国は人口や経済的に大ダメージを受けていたであろう。褒美は好きな物を用意しよう。何が良いか?」
「馬と金が欲しい。」
「わかった。すぐに用意しよう。宰相よ、国の危機を救った英雄に相応しい物を用意せよ。」
「はっ!直ぐに!」
宰相が国王に報酬の最終打合せを行っている。馬が欲しいだけなのにどんどん話しが大きくなったな。
「待たせたな、報酬の準備ができた。そなたには、馬と金貨5万枚を与える。」
日本円で5億円。無職生活してたら消えそう。ミールが肘で突っつく。こんな時にちょっかい出してくるとかクレージーすぎる。剣を鞘から少し抜いて、なんかぶつぶつ言っている。怖い。
『キンッ!』
剣を抜き放ち、天に掲げる。
「この剣は我が友と愛する者の為に振われる!!」
『スチャッ!』
剣を静かに戻してミールを見ると両手で顔を覆っていた。
「己の信条を貫く者は嫌いでは無い。励むが良い。」
寛大な心を持った国王に心酔してしまった騎士が一人増えた。ミールだ。
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