出会い

1/2
1人が本棚に入れています
本棚に追加
/7ページ

出会い

 気が付けば、白い空間に居た。自分の身に何が起きたのかも分からない。背後に視線を感じる。振り返って見ると、美人な女性がいた。幻覚か……? 「私はそこに居て、其処には居ない存在です。」  意味の分からない事を急に話し出した。(こわ)い……。 「私は女神です!貴方の心を読んで答えています。」  本当かなぁ?自分が怖い人認定され無い為の嘘じゃね?それでは、質問です。性行為は経験有りますか?  ふざけた質問をぶっこむ。これでは、お互いに変人だ。女神様は最高の身体をお持ちしている。美人な女性は大抵経験済みって、誰か言ってた様な気がする。 「……。」  女神様のスマイルが消えていた。ヤバい、消される!  女神様は真顔でクビを切る様な動作をした……! 俺の体が地面に吸い込まれて行く。 「まだ死にたく無い!やり残した事があるんだ‼︎」  死ぬ前にしたかったな……。  広大な草原(そうげん)で目を覚ました。  此処は天国か?いや、違うな。地獄だ。 3匹の(おおかみ)がよだれを垂らしながら、俺を囲む。逃げ場は無い!大声で助けを呼ぶしか無い。 「誰かー!助けてー‼︎ ヘルプ、ミー!」  ドカドカ!ヒヒーン!  白馬に乗った騎士が狼共を薙ぎ払う(なぎはらう)。 「大丈夫か?坊主⁉︎丸腰じゃねえか!」  老騎士が目を見開く。モンスターが出る所に武器無しで転移させるとか、マジで鬼畜(マジキチ)だよねー。この世界では、襲われたら殺される。その前に(おのれ)の願いを叶えてやる! 「大丈夫じゃないです……。助けて頂きありがとうございます。」  馬車と騎兵隊が俺達の前に止まる。 「礼なら、うちの(ひめ)に言いな。」  ……姫?王族?  ガチャッ!  可愛い子が馬車から出てきた。お礼を言わないと。 「姫様!助けて頂き、ありがとうございました!貴女に尽させてください!」  お金やまともな装備も無く、収入源が無いからだ。 今だけ助けられても生きて行けない。 「学園での警護はどうだ?姫さん。」 「私はただの貴族です。セレナ・ブルーマインと申します。貴方はどなたでしょうか?」  日本語なのに予想外の名前が出て来た!普通に石川 匠(いしかわ たくみ)って名乗るのはまずいよなぁ。カッコいい名前無いかな……。カイゼルにしよう。カッコいい。 「カイゼルです。家名はありません。」 「カイゼルさん、一週間後から学園での警護をお願いします。それまでは白馬の騎士、ローレンに鍛えて貰います。」  カイゼルは訓練でローレンにボッコボコにされた。一週間、セレナと会う事無く修行を終える事が出来た。部屋に戻ると学生服と兵士の剣が置いてある。着替えて護衛対象を迎えに行く。今日から学園生活が始まる。 記憶が殆ど無くなり、身長が縮み高校生くらいになっていた。転移って言うより転生かも知れない。
/7ページ

最初のコメントを投稿しよう!