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ふと
「ねえ」
誰かに呼ばれた気がして彼は振り返った。
視線を下に下ろすと小学生くらいの男の子がこちらを見上げている。
「いつまでここにいるの?」青い帽子をかぶった彼はぴょこんと跳ねた。
返事に困って黙っていると
「みんな待ってるよ」
「みんな?」
「うん」
みんなって誰だろう?
その時、信号が青になった。
「さあ」
男の子は両手で抱えていたサッカーボールを右にずらし左手で僕の手を握った。
足がふっと動いた。
そして二人で横断歩道を歩き出す。
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