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困惑
未藍と奥宮蓮の交際の噂は、あっという間にひろまった。
瓜田は、同情されたり励まされたりするたびに胸が痛んだ。ほっといて欲しかった。女の子を助けたヒーローの結末がこんなに惨めだなんて聞いてない。
屋上で2人を目撃して以来、瓜田が続けてきた未藍の護衛はやめた。
この交際の噂に、オカルト研究部員も戸惑っていた。つい2日前に奥宮蓮は天と地に別れた双子の1人で、未藍も“契約”に関わる人物かもしれないと部長から聞いたばかりだった。
白猫の祠で神の遣いから聞いた内容とは反対のことが起きた。
未藍が地の神と人間との間に生まれた子なら、天に向かった双子のもう1人との婚姻で”1000年に一度の契約”が成立する。
双子といえど奥宮蓮では相手が違う。そもそも未藍はまだ高校1年生。婚姻という年齢ではない。
この事態をどう対処すべきか、誰にも答えが出せていなかった。
未藍と奥宮蓮との交際は、“契約”の事情を知らない侑香も反対している。
(恋愛体質の沙耶でもあんなに早く付き合わないって!! 未藍はもっと慎重な子でしょ!)
未藍を心配すると同時に寂しくもあった。どこか危うさのある未藍が、奥宮蓮といるとき安心した表情をしていた。奥宮蓮は誰から見ても安心できる相手ではないのに。
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