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ククルカンは大きな機体に反して、
コクピットは6歳児のあきらに合わせたためか狭かった。
そこに無理矢理孫をブチ込んだ水戸博士は、
そそくさと自分は外に出ていった。
椅子に座ると球体のモニターがコクピットを覆っていて、
全方向が表示される事が解る。
「どうするのこれ~!?
僕自転車にも乗れないんだよ~!」
戸惑うあきらに、
モニターに拡大表示された水戸博士はこう言った。
「自転車どころか三輪車より簡単じゃ!
両側にあるレバーを握りボタンを押して叫べば、
後は自動でなんとかなる!
今は発射準備と言うのじゃあ!」
「えっ~と・・発射・・準備?」
そう言うと目をつぶっていたククルカンが目を見開いた。
眠りから覚めた様な起動するククルカンの目は、
燃え盛る朝の太陽の如く赤かった。
そして背中には黒い炎状のエネルギーが鬣の如く走る。
起動したククルカンを乗せていた台座は立ち上がり、
横たわった機体をロケットの如くそそり立てた。
東京スカイツリー以上の高さに、
開発した水戸博士も満足げに見上げている。
台座は立った状態のままゆっくりスライドし、
格納庫側面にある発射台とドッキングした。
それは希望が詰まったロケットでなく、
絶望を込めた核ミサイルの様だ。
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