人材育成、はじめました。

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魔王が勇者に倒された。 勇者が苦し紛れに放った一投を魔王は防げず、聖剣は魔王の胸部に深々と突き刺さった。 魔王は血の漏れ出す口角を柔らかく緩める。 その笑みの意味を知るのは、彼に完全服従するわけでも無く、対立するわけでも無く、十数年そばに居続けた俺くらいだろう。 俺は横たわり動かなくなった魔王に近づいて、「良かったな」と声をかけてから、その胸に刺さる聖剣を引き抜いた。 魔王の次に勇者の側に歩み寄る。 彼も魔王から受けた傷で瀕死の状態であり、立つこともままならず、横たわった状態で俺を見つめる。 その目には、勝利の喜びも、俺に対する恐怖も何もない。 勇者は何も発する事はなく、そのまま目を瞑って深い眠りについた。
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