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そこに立ち尽くす私に、
「どうかした? 顔が真っ赤」と、後藤さんが歩み寄った。
「『後藤と仲良くね』って、言われた。バレてたの、恥ずかしい」
「ああ、俺、二人で出張した時に喋ったよ」
「……えええ!?」
「いや、向こうもひたすら堀越さんの話してたし」
「ちょ、ちょっと、他には話してないでしょうね!?」
「川原部長は住所、同じなの知ってるから、そういうことかって言ってたけど?」
……えええ!?そうか、住所変更の書類出した!川原部長経由で……じゃあ総務の人も知ってる!?
「あの人、ちょっとにやにやしてくるから恥ずかしいよね」
「え、え、え!? にこやかな人だなって思ってた! ええ、もう、恥ずかしい!」
「ほら、ここまだ会社だから、シーッ、ね?」
シーッじゃないわよ。何か色々……してやられた気がする。じろり睨むとにこにこと笑って見せた。
「行こうか、片瀬さん。ちょっと忙しくなりそうだなあ」
と、伸びをしながら前を歩く後藤さんに続いた。
家に帰ったら絶対に問い詰めるからね!背中にそう呟いた。
──香田さんも安藤さんも、変わったなあ。
香田さんは中島さんに結婚生活のノウハウなんかを聞いたり、私と小篠さんに女心を聞いたり、素直な性格が幸いして、結婚生活はとても順調だそうだ。
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