episode 06 青い鳥 【二十六歳・最終章】

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 ミカちゃんの姿は、すでに消えていた。  帰り際、どこかにカーディガンを引っかけてしまったのだろう。青い糸屑が数本落ちている以外は、何の痕跡も残していなかった。  何と言って、謝ろう。  これまで通り、弟のような存在として関われるだろうか。  そればかりを考えて、僕は明け方にようやく眠りについた。 *  就寝直後に、ミカちゃんからメールが届いていた。気づいたのは、受信から三時間後だった。 【無題】  魔が差してしまいました。  ヒロちゃんの青い鳥は、清子さん。  私の青い鳥は、ユウ。  それぞれの幸せを、全うしましょう。  <END>  何と返信しようかと迷いながら、その日一日を上の空で過ごした。  文字だけじゃ、伝わらない。  声に出して詫びよう。  日暮れ後、僕はミカちゃんの携帯番号をコールした。 『お客様のおかけになった番号は、現在使われておりません……』  無機質な音声ガイダンスが流れる。  ミカちゃんの番号は、すでに解約されていた。
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