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ミカちゃんの姿は、すでに消えていた。
帰り際、どこかにカーディガンを引っかけてしまったのだろう。青い糸屑が数本落ちている以外は、何の痕跡も残していなかった。
何と言って、謝ろう。
これまで通り、弟のような存在として関われるだろうか。
そればかりを考えて、僕は明け方にようやく眠りについた。
*
就寝直後に、ミカちゃんからメールが届いていた。気づいたのは、受信から三時間後だった。
【無題】
魔が差してしまいました。
ヒロちゃんの青い鳥は、清子さん。
私の青い鳥は、ユウ。
それぞれの幸せを、全うしましょう。
<END>
何と返信しようかと迷いながら、その日一日を上の空で過ごした。
文字だけじゃ、伝わらない。
声に出して詫びよう。
日暮れ後、僕はミカちゃんの携帯番号をコールした。
『お客様のおかけになった番号は、現在使われておりません……』
無機質な音声ガイダンスが流れる。
ミカちゃんの番号は、すでに解約されていた。
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