#44 永遠

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「おっ!永遠ちゃん、いい感じじゃん。似合ってるよ」 「えー・・体のラインが出すぎじゃない?」 「そうかなぁ?俺は好きだけど」 「胸も結構空いてるよ?」 次の日、二人で訪れた服屋さんで玲が選んだのは、テラコッタ色のミモレ丈のニットワンピだった。 「永遠ちゃん、白とか薄い色も似合うけど、こういう色も似合うね」 玲は満足そうな顔をして、私の足先から全身に目を滑らせる。 なんだか、玲の好みって変わった? ニットワンピと言えば、付き合って初めてのクリスマスに母が買い与えた裾がフレアの形をしたひざ丈ワンピみたいなのを玲は好んでいたはずだ。それを玲に伝えると、 「そりゃあ、俺も大人になってるから・・とか言いつつ、そういう形のやつも持ってきたけどな」 流石に私の年齢ではきついデザインのワンピースは玲は手に取って渡してくる。 「や・・やだよ。これはちょっとあざとすぎるって」 でも、玲があまりにお願いするから、仕方なく試着だけした。なぜ背中が空いているのか。スカートが膝上すぎるのか。恐ろしいほど似合っていない。というか、これはダメだろう。 「永遠ちゃん、まだ?」 ワンピースを脱ごうとした私に玲は声をかけて来る。行動を読まれているようで怖い。 「早く見せて」 渋々、試着室のカーテンを開けると、玲は私の姿を目に留めるとぱぁっと顔を輝かせた。 「女神・・・」 自分の彼女に女神って・・・。 「ねぇ、この服、おかしくな「おかしくない!!」 私の疑問を打ち消すように玲が被せ気味に主張する。 どう見てもおかしい気がする・・・。 どう考えても背中が空きすぎている。 狼狽えている私をよそに、玲は満足げな表情をして、うんうん頷いている。平日の午前中とはいえ、少しの人目があるから、 「玲・・・風邪ひきそうだから着替えてもいい?」 と、言った。 背中の心元なさに負けて、玲に懇願すると、意外にも簡単に玲は承諾した。 でも、目に焼き付けたから着替えていいよと口では言いながら、めちゃくちゃ名残惜しそうな視線を投げて来る。 玲がこのワンピースを気に入っているのは分かるけど、流石にこれは買わないから。 まだ、テラコッタのワンピの方がいい。 玲は昨日の宣言通り、そのワンピを買ってくれた。 「白じゃなくて良かったの?」 「白い方を買っても永遠ちゃんは着てくれないでしょ?」 よく解っているじゃないか。 「永遠ちゃんも買った方のワンピはなんだかんだ言いつつ気に入ってたじゃん」 お見通しか。 だんだん、玲の掌の上で転がされているような気がしてくる。 ・・・・・・・ 「永遠・・・」 繋がったままぎゅっと抱きしめられた私は、熱を持つ下腹部を持て余して、玲にしがみついた。 R県から隣の県に移動して、観光地を巡った後、落ち着いた宿でこういうことになっているのだけど。 「壁、薄いかもしれないから。声、我慢してね」 普段より潤んだ瞳で私を覗く玲に、私は余裕をなくす。 前日に泊ったシティホテルと同じような造りの比較的新しい今日の宿の壁の厚さなど考えている余裕はなかった。 「んっ・・・」 「永遠、締めるなって」 「だって・・・」 「一週間ぶりなんだから、すぐ出ちゃうって」 「やっ・・・ん・・・」 声を我慢しているせいで、私達の結合部分から鳴る音が耳を犯した。 玲の膝の上に乗った私は、彼の腕に腰をがっちり固定されて逃げ場がない。ぐりぐりと弱い一点を責められて叫びそうになる。 「玲、だめ・・・そこはだめ・・・・」 私の腰を掻き抱いたはずの手が、在らぬところに伸びてきて、その指が敏感な部分を撫で始めた。 「うそ・・やっ・・」 「いいから、じっとして」 「やだぁああ・・・あっ・・」 拒否を口にしたその口が、艶めかしい声を上げる。 「永遠・・俺に任せて」 「やだっ・・ばかっ・・・・あああっ」 とうとう指の侵入を許して、私の身体の内側がぞわっと粟立った。 「あぁ・・永遠・・かわいい」 「ふああっ・・」 狭い室内に置かれた机の上の大きな鏡に、私達のどうしようもない部分が映っていて、ただでさえ恥ずかしいのに、玲の指の行方が映っていて、死にそうになる。 玲が私の口元を舐めた。 「永遠・・愛してるよ」 それを言うなら絶対、今じゃないと思う。 と、どこかで冷静な私が言うけど、 「わ・・私も・・愛し・・んああっ!」 どこまでも玲に翻弄されまくっている私には、分別がつきにくくなっていた。
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