墓まで

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「もう会わない、絶対に会わない」 「なんでだよ、いいのかよ、このままで」 「いいの。今のままで。墓まで持っていく隠し事は、私が犯した罪の一生掛けての禊」 「なんだよ、それ。本当に言わないのか」 「言わない」 「お前の天秤はどっちに傾いてたんだよ」 「それも言わない」 「いいんだな、それで。これっきりで」 「いいの、あなたとはこれっきりで」 「後悔しないか」 「しない」 「絶対?」 「絶対」 「禊って、自分に嘘ついて生きるって意味じゃないのか」 「違う。絶対違う」 「そうか。けど、その子は」 「この子は間違いなくあなたの子。こう話すのは今日が最後。この事実は墓まで持っていく」 **  可愛い我が子をあやしていると、自分に似てると思えてくる。  血、繋がってないのにな。  穏やかに過ぎていく妻と子供と三人の暮らし。  僕は知ってるよ。  でも、これは墓まで持っていく僕の隠し事。君たちを守る為に。
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