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僕は小学生時代、いつもイジメられていた。
おどおどとして人見知り。ただそれだけでも、イジメる側の理由としては十分だった。
無視されるのは当たり前。
ランドセルや上靴が隠されることは日常茶飯事。
僕が触ったものは汚いらしく、誰も触れなかった。
死にたい、学校に行きたくない、そう思うことだけはしなかった。
こいつらには負けない。
勉強していつか見返してやる。
毎日のように自分に言い聞かせた。
だが一度だけ、決心が揺らいだ日を今でも鮮明に覚えている。
三時間目の社会の後、急激な痛みが腹部を襲った。
槍で何度も突かれるような痛み。
槍を見たことすらなかったが、根拠もなく昔の武将たちはこんな痛みだったんだと確信し同情した。
社会の歴史の授業が尾をひいていたことは言うまでもない。
僕はトイレに駆け込んだ。
大便の個室へ入ろうとしたとき、イジメっこのリーダーがドアの前で両手を開いて通せなくした。
「おねがします、漏れそうなんです」
額に脂汗を浮かばせて、僕は懇願する。答えは当然NOだった。
「土下座してオレの上靴を舐めろ。もちろん裏をな」
何がもちろんなのかわからないまま、僕は迷うことなく舐めた。
リーダーと取り巻きのイジメっこ達は大声で笑いながら「仕方ねーな。入らせてやるよ。オレは優しいからな」と土下座した僕を蹴りあげる。腹の痛みが倍増した。いや、倍増どころではない。四方八方から一気に槍で突かれた痛み。
侍大将はこの痛みの中、首を取られたのか……
もう僕の頭は現実を直視する余裕はなかった。
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