鮨屋台付きタイムマシン

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 J博士は江戸時代に非常に興味を持ち、鯔背な江戸っ子に憧れ、飢饉に苦しむ農民たちを救ってやりたいと思っていた。無論、それは現代にいる以上、土台無理な話だが、江戸時代にタイムスリップすれば、不可能な事ではない。だからタイムマシンの開発に乗り出したJ博士は、長年に亘って取り組み、紆余曲折や試行錯誤や苦心惨憺したことが無駄とはならず、努力が実り、見事、完成に至った。そのタイムマシンは特殊なものでコックピットの後ろに鮨屋台が付いていた。J博士自らが鮨を握り、飢えた農民たちに食わそうというのだ。  早速、J博士は屋台に百貫分のシャリと寿司ネタを仕込んで用意し、その上、ムラサキもアガリもガリも酒も必要なものは何もかも取り揃えた。そうしてコックピットに乗り込み、時間と場所を天保7年の武蔵国足立郡に設定してスタートボタンを押すと、時の流れを遡り、パラレルワールドを幾つも通り越え、目的地に到着した。
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