眠れない夜

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走り出すタクシーの中、柊はぼんやりと今日の出来事を思い返していた。 こんなにも、嵐のように誰かに感情を揺さぶられたのは初めてのことだった。 それに、最後に見せた男の寂しそうな顔。 その物憂げな表情が頭にこびりついて離れなかった。 またね。 またなんてない。 二度と会ってはいけない人だと思った。 もし次会ってしまったら、その時私は彼に体を許してしまう…そんな気がしたのだ。 何となくだけど、女の直感が”危険“と訴えている。 でも神様というのは意地悪だった。 二度と会うはずなんてなかったのに…。
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