27人が本棚に入れています
本棚に追加
/16ページ
「お願い!今日どーーしても行きたいから、付き合って」
2軒目の店を出てもう帰ろうかというタイミングで恭子に懇願され、半ば無理矢理連れて来られたのは「Sugar」という相席バーだった。
こういった男女の出会いの場所に来るのは久しぶりのことで、柊は落ち着かない気持ちでカクテルをすすっていた。
照明が落とされた暗い店内には、ざっと数えて、柊と恭子のほかに女性だけのグループが3組、男女が相席しているグループが4組だった。
入店してから30分が経過しているが、まだ1度も相席していない。
「今日は男性客少ないんだね…。まぁ、タダで飲めるからいいんだけどさ!」
彼氏と別れたばかりで男に飢えているという恭子は、残念そうにぼやく。
この「Sugar」という店は、女性客は無料で利用できる代わりに、男性客は分単位でやや割高な相席料金を支払うシステムになっている。
「こう見るとさ、人口に占める男性の割合って相当少ないのかなって思っちゃうよね。」
隣のテーブルでつまらなそうにスマホをいじっている女性グループを横目に、柊は苦笑交じりに言った。
最初のコメントを投稿しよう!