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もしも攻め子たちがエリート独り身だったら♪
『もしもシリーズ』第一弾。
周焔と鐘崎遼二がまだ恋人がいない状態で、エリート検事の同僚だったら……という設定での妄想です(〃艸〃)♪
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時刻は午後の三時になろうという頃だ。検事の鐘崎遼二は、遅めの昼食に出掛けようとしていた。
さすがにこの時間になるとホールの人影もまばらだ。エレベーターが開くと、そこには同僚検事の周焔がただ一人――。
視線が合うと同時に、互いにパッと瞳を見開いた。
階数表示に目をやれば、ロビー階を示す『L』になっている。――ということは外に出るのだろうが、彼は身体ひとつの身軽な出で立ちである。捜査や打ち合わせに出掛けるわけではなさそうだ。
「よう! もしかしてこれから昼飯か?」
「おう。てめえもか」
「まあな。それよりお前、明日は公判じゃなかったか?」
「ああ、お陰様でな」
「あの難しい案件を起訴に持ち込んだだけでもすげえことだと思ったが――さすがは鬼検事と言われた周焔だな」
鐘崎が薄い笑みと共に不敵に口角をあげれば、周の方は苦笑ながらもつられるように表情をゆるめた。
「そんじゃ、明日の公判を乗り切れるように栄養補給でもさしてもらうか――」
フッ――と空気が動き、周独特の香水が鼻をくすぐったと思ったら、彼の整った高い鼻梁が視界に入りきらない位置に迫っていた。
彼の言うところの栄養補給とは、キスをくれという意味だ。鐘崎は半ば呆れがちで苦笑を誘われてしまった。
「栄養補給――ね。何なら特大の注射でも打ち込んでやるか? とびきり利くすっげえのを――」
クスっと笑いながらも、ねだられた”栄養”を補給してやる。
「――は、俺的にはどちらかといえば患者よりは医者の役回りの方が精がつくんだがな」
周も負けじと不敵に切り返す。つまり、注射”される側”よりも”する側”がいいと云っているわけだ。
「相変わらずに図々しいヤツだ。せっかくだが、俺はどこも悪くないんでな。遠慮しておこう」
「はん――! ケチな野郎だ」
「ケチとはご挨拶だな。思慮深いと言って欲しいところだ」
同時に笑いが漏れる。いまだ唇と唇が擦れ合う位置で、吐息まじりのかすれた声音も互いの耳元を侵し合う。
「とびきり利く”注射”は恋人ができるまで取っておくんだな」
「仕方ねえ。そうするか。まあ、そんな日がくればの話――だがな」
「せいぜい精進しろ。それよりメシはどうする? どうせてめえもこれからなんだろ?」
「そんじゃ、精のつく鰻でも食うか。慎ましやかな誰かさんにフられちまったことだしな?」
軽い嫌みと共に嗅ぎ慣れた香りと体温がスッと離れていくのを感じれば、心なしか寂しいような惜しいような気持ちがこみ上げる。――と同時にエレベーターの扉が開いた。
ほんの短い密室の時間に後ろ髪を引かれる郷愁を感じた午後だった。
※攻め子シムたちの新造形完成記念にいつもお世話になっているクリエイーター様の素敵ポーズをお借りしました。
そのポーズで撮っている内に、エリート同僚同士の脳内妄想がムクムクとし出したのでSSにしてみました♪
拙宅では珍しい――というよりも初めてのエリートシチュ。今回は攻め×攻め系で友達以上恋人未満の設定で、役職は検事で妄想してみました。
シムズでは素敵なCC(お洋服や髪型、ポーズなどのカスタムコンテンツ)をたくさんお借りしています。クリエーターの皆様に心から感謝です(*´-ω-))人
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