玉ねぎのせい

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玉ねぎのせい

 何年前になるだろうか…あれは祖父の葬儀の時だ。  火葬場で皆が待つ控え室から、祖母が1人外に出ていった。  それに気がついた俺が後を追う。 「どうした、ばあちゃん?寒いから中戻ろう」  そう呼び掛けるも、火葬場の上のどんよりと低い空を見上げているばかり。 「あんた、煙草持ってない?」  唐突に聞かれるが、高校生の俺は持っているはずもなく。いや、持ってるやつもいるかもしれんが。 「有るわけないじゃん。ばあちゃんだって吸わないだろ?どうした?」  ちらりと一度俺を見てからまた空を見上げる祖母。
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