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黒髪に触れる彼の手からはもう、いつものトワレの香りがする。
麗しいブロンドの彼が、そっと藍子の額にキスをしてくれた。
「大丈夫だよ。なんか知らないけれど、瑠璃が頑張ってくれているみたいで……」
「知ってる。双子が必死に、俺に見つからないようになにかを隠して行動しているな」
額だけで終わらず、エミリオはさらに藍子の耳元の黒髪を除けながら、耳元にもキスをしてくれる。
シャボンの香りと彼の唇の感触にうっとりしながらも、藍子はそのまま続ける。
「そうなのよ。海人もサポートしているみたいで、教えてくれないの。目に見えているけれど、しらんぷりしてる」
「俺もだ……」
なんていいながら、エミリオの唇が藍子の首筋に移っていく。
「エミル……。あの、ご飯、もう仕上げなくちゃ」
「あ、いけない。……なんかな、また海上に出ていくから、その前に藍子をたっぷりと補給しておきたいと、焦ってきたというか」
そう言われるだけで、藍子はいまでも頬が熱くなる。
まだ式も挙げていなければ、入籍だってしていない。なのに大きな新居に移って半年以上たつし、すっかり新婚みたいな生活に馴染んできている。
好きな時に肌を重ねているし、休日なんか二人一緒に離れることはない。
さらにエミリオは雷神に移動してから、任務へと海上へ旅立つ前になると、藍子を求める夜が多くなる。さらに帰ってきた後の数日も激しい。
その期間に入ったのだと思った。
その通りに、真面目に夕食の支度を帰宅後から頑張っているのに、いつものシンプルなシャツにパンツスタイルにエプロンをしている藍子を、ブロンドの彼が翠の目で、じっと熱く見つめている。
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