魅惑の✕✕✕

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「ちぃ?」  急に手を引っ込めたので、おうちゃんは不思議に思ったのだろう。いつもよりほんの少し、心配そうな顔をしている。 「あの……その」  見上げたおうちゃんの耳の端っこ、ほんのり赤くなっていた。  おうちゃんも恥ずかしかったんだろうか。もしかして、わたしと一緒?  いつの間にか身体が熱い。きっと、おうちゃんの赤いのがわたしにも伝染(うつ)ってしまったんだ。いけない、勉強しなくちゃダメなのに。 「あ……ご、ごめんね! なにしてるんだろう、わたし……。もう大丈夫だから……っ」  今度こそ立ち上がろうとしたら、おうちゃんの手がふいにわたしの頬を撫でた。 「お、う、ちゃ……」 「ーーさわるだけで、いいの?」 「……えっ」  おうちゃんの熱っぽい瞳から、わたしは逃げることができない。 「だけって……だって……他にどう……ーー」 「千歌」  どういうこと? そう言おうとしたけれど、おうちゃんの言葉に遮られる。おうちゃんの瞳、微かに細くなった。 「こういうこと」  気づいたら、おうちゃんの顔が間近に迫っていた。 おしまい♡ 『唇』
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