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side Shiori …3…
翌朝。
ガンガンガンガン……。
(頭痛が痛い……)
最早、変な日本語にも気付かない程、私の体調は最悪だった。
「二日酔いだ、コレ……」
あの後、咲は見事な程、辛辣かつ的確に私の行動について何が問題だったのかを指摘した。
図星過ぎて飲み過ぎた。
脱水に近い症状を少しでも緩和すべく、スポーツドリンクを買い帰途につく。
最寄り駅の改札を出ると、今回の引き金となったあの建物が視界に入った。
「……」
見る度に涙ぐむ。
視界から無理矢理、追い出すと、駅前の噴水広場が目に入った。
そこで、私の目に飛び込んできたのは……。
今週も仲良く待ち合わせしている、あの2人――。
視線をこちらに向けた凪君と目が合った。
「……」
「……」
時間が止まった気がした。
かたや、結婚前のお家デートで幸せな身。
かたや、想いを何年間も隠し続けた結果、フラれ、ぼろぼろになり朝帰りかつ二日酔いの身。
(いくら何でも酷い仕打ちです、神様……)
「……栞」
凪君が私の名を呼んだ瞬間、私は踵を返して家とは逆方向に向かって歩き出した。
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