side Shiori …3…

1/3
22人が本棚に入れています
本棚に追加
/17ページ

side Shiori …3…

翌朝。 ガンガンガンガン……。 (頭痛が痛い……) 最早、変な日本語にも気付かない程、私の体調は最悪だった。 「二日酔いだ、コレ……」 あの後、咲は見事な程、辛辣かつ的確に私の行動について何が問題だったのかを指摘した。 図星過ぎて飲み過ぎた。 脱水に近い症状を少しでも緩和すべく、スポーツドリンクを買い帰途につく。 最寄り駅の改札を出ると、今回の引き金となったあの建物(マンション)が視界に入った。 「……」 見る度に涙ぐむ。 視界から無理矢理、追い出すと、駅前の噴水広場が目に入った。 そこで、私の目に飛び込んできたのは……。 今週も仲良く待ち合わせしている、あの2人――。 視線をこちらに向けた凪君と目が合った。 「……」 「……」 時間が止まった気がした。 かたや、結婚前のお家デートで幸せな身。 かたや、想いを何年間も隠し続けた結果、フラれ、ぼろぼろになり朝帰りかつ二日酔いの身。 (いくら何でも酷い仕打ちです、神様……) 「……栞」 凪君が私の名を呼んだ瞬間、私は踵を返して家とは逆方向に向かって歩き出した。
/17ページ

最初のコメントを投稿しよう!