side Shiori …3…

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一刻も早く逃げ出したくて駆け出したかったが、二日酔いの状態の為、走りたくても走れない。 (凪君が追い掛けてくることはないか……) 彼女と一緒にいるのだ。 たかが幼馴染が無視したからと言って、追い掛けてくるとは思えなかった。 もう少し歩けばバス停のベンチがある。 (そこで少し休んで帰ろう……) 頭痛が酷い。 # ベンチで休んでいると上から声が降ってきた。 「……栞、この1週間どこに……?朝、居なかっただろ?」 「仕事が忙しかった」 「仕事が忙しい、って……。じゃあ、昨夜は?お前の部屋、電気()かなかったし、どう見たって朝帰り……だろ?」 「……凪君には関係無い」 「『隠し事』すんなよ」 「凪君だって『隠し事』してるじゃない!私、知ってるんだからっ!」 「……何を?」 「凪君、結婚するんでしょっ!?」 「結婚?」 「今一緒に居た人と!凄い美人さん!良かったねっ!」 もう泣き出しそうだ。 可愛げのない状態に拍車がかかる。 「栞だって1ヶ月程前に手繋いで男と帰ってきてただろ!?栞は本当に心許した人しか触らせないじゃないかっ!だから、俺はーー」 「会社の先輩だから振り払えなかったのっ!ーーって、凪君、見てたの?『だから、俺は?』って?」 凪君は視線を落として、語り出す。
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