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一刻も早く逃げ出したくて駆け出したかったが、二日酔いの状態の為、走りたくても走れない。
(凪君が追い掛けてくることはないか……)
彼女と一緒にいるのだ。
たかが幼馴染が無視したからと言って、追い掛けてくるとは思えなかった。
もう少し歩けばバス停のベンチがある。
(そこで少し休んで帰ろう……)
頭痛が酷い。
#
ベンチで休んでいると上から声が降ってきた。
「……栞、この1週間どこに……?朝、居なかっただろ?」
「仕事が忙しかった」
「仕事が忙しい、って……。じゃあ、昨夜は?お前の部屋、電気点かなかったし、どう見たって朝帰り……だろ?」
「……凪君には関係無い」
「『隠し事』すんなよ」
「凪君だって『隠し事』してるじゃない!私、知ってるんだからっ!」
「……何を?」
「凪君、結婚するんでしょっ!?」
「結婚?」
「今一緒に居た人と!凄い美人さん!良かったねっ!」
もう泣き出しそうだ。
可愛げのない状態に拍車がかかる。
「栞だって1ヶ月程前に手繋いで男と帰ってきてただろ!?栞は本当に心許した人しか触らせないじゃないかっ!だから、俺はーー」
「会社の先輩だから振り払えなかったのっ!ーーって、凪君、見てたの?『だから、俺は?』って?」
凪君は視線を落として、語り出す。
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