星降る夜に首飾りを

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家に帰ったら雨戸を閉めておくように親に言われていた。 だから私は夕方、家に帰ってすぐに家中の雨戸を閉めた。 今夜は星が降る。 両親は降りはじめの予報に間に合わないからと、二人とも一晩職場に留まることにしたらしい。 夏が終わり、秋が来るとこの街には星降りの季節が来る。 星は雨のように降り注ぎ、地に堕ちると悪鬼を生む。そうして現れる彼らを目にした人間は皆、例外なくその美しさに魅入られてしまう。魅入られた者は、彼ら夜通し語らううちに同じ悪鬼となり、共に夜明けの光で消滅する。 毎年それで何十人、何百人と死者が出る。故意に悪鬼自殺を計る者も偶然の事故でそうなる者もいた。どちらにせよ悪鬼を目にすれば皆消滅する運命。星降りの季節は死の季節なのだ。 でも私は知っている。 必ずしも消滅するわけではないということを。
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