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「嘘じゃない。もう、最初から好きだったんだけど。だから今まで良い後輩ポジキープしてきたっていうのに、こんな形で……ああもう!」
「え、えっと……なんか、ごめん……?」
「ごめんじゃないし! 告白すんならもっとカッコよく決めたかったわ!」
こんなあたふたするハルトは初めて見る。
まだ知らない後輩の顔があったとは思わず、なんだかおかしくて──満更でも無くて、ミカコはつい笑みを零してしまった。
「何笑ってんすか……」
「え? あ、ごめん。なんか……ハルトがおかしく見えて」
「はぁ!?」
でもやっぱりそれを正直に言うのは悔しい気がして言わなかった。散々喘がされたことに対する仕返しだ。
「──よし、決めた」
不穏さを纏ったハルトの声音に、嫌な予感がした。
ハルトの逞しい腕が伸びて思わず身構えたが、ミカコの横を通り過ぎてサイドテーブルの方へと向かう。
その手が掴んだものは、まだまだ中身の残る小箱。コンドーム。
「まだいっぱい余ってますしね。この一晩で俺のこと好きにさせてみせます」
「え?」
「俺をこうさせたのは、ミカコさんだから。その責任は取ってくださいよ」
「は? ちょ、嘘でしょ!? も、無理だって」
「言い訳無用」
ハルト、そう呼ぼうとした声は彼の唇に食べられた。
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