4.午前三時。

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 口から煙草を離すと、男の後頭部に手を回し、銀色の髪を鷲掴(わしづか)みにした。  小さく驚いた男の顔を、強引に引き寄せ、唇を押し付ける。  くっついた二つの唇が(みにく)(つぶ)れ、――男の中に、思いきり煙をぶちまけた。  全て吐き出し、唇を離していく。    ぼやけていた男の顔が、はっきりとした形で目に映った。  オレは男を見下ろした。  すぐにまた、オレを見下ろすであろう男の目を、もう一度、見下ろした。  男は背中を丸め、苦しそうに()き込んでいた。  でもなぜか、その顔が少し、嬉しそうに見えた。    何が嬉しいんだろうか。  わけが分からなかった。  オレは男を置いて、一人、リビングへ戻った。
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