プロローグ・戸惑わせるのが好き

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プロローグ・戸惑わせるのが好き

 ――俺には、どうしても好きになれない奴がいた。 「く……っ、んっ、あっ」  遠慮なく、人のナカをかき回してくるくせに。  俺のことを、怖いくらい強く。  優しく、抱き締めてくる奴だ。 「お前って、相変わらずココ……弱いなァ?」 「ふ、ぁ……っ! おまっ、やめ……っ、んっ!」  ぐっ、と……奥まで突かれる。  そうされると、体中に電気でも流れたかのように。 「ぁあ、っ!」  震えてしまう。 「やぁ、あっ! や、め……っ! んぁ、っ! イ、く……っ!」  ――蹴り、飛ばしたい……っ!  なのに俺は、コイツを蹴り飛ばせないんだ。 「んんっ、あっ! ぁあっ!」  ――コイツにとっての俺は、何なのか。  ――俺にとってのコイツは、ただの……嫌いな奴なのに。 「はっ、ぁ、ん……っ」  熱い息を吐いて。  互いに達しながら、ぼんやりと考えてしまう。  ――ただ、俺はコイツが嫌いで。  ――おそらく、コイツも俺が嫌い。  ――なら……この関係は? 「真冬(まふゆ)……ッ」  何でコイツは、二人になった途端。  こんなに優しく……俺の名前を呼ぶんだ?  ハッキリとしない頭でも、一つだけ確実に分かることがある。  それは、俺はコイツが。  ――ヤッパリ、嫌いなんだということ。 プロローグ・戸惑わせるのが好き 了
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