沈黙

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沈黙

 ほっこりアニマル村の耳長族のレドは、最近叫ぶことが多いような気がする。だから、ダンを優しく見守ることにして、叫ばないように心掛けようと思った。  そんな折、ダンがフランスで仕事をした時に、知り合ったレオンがほっこりアニマル村にやってきた。 🦁「やぁ、ダン。久し振り。また会えてうれしいよ」 🐇「やぁ、レオン。元気そうで何よりだ。妻を紹介するよ。レドだ」 🐰「初めまして。レドです。お会いできてうれしいです」 🦁「こちらこそ、いつもレドさんのことはダンから聞いて、楽しいご家庭だと思っていたので、お会いするのを楽しみにしていました」  レドはダンを横眼で見ながら、一体どんな話をしたのだろうと、少し不安に なっていた。 (だって、普通は素敵なご家庭とか言わない?)  心の中で呟きながら、楽しいご家庭って、一体どんな時に言うのかなと想像すると、あれやこれやの失敗談が浮かんでくる。  でも、レドは、今日は何も言わないと決めたから、お口をグッとつぐみます。 🐇「レオン、どこか行きたいところはあるかい?」 🦁「そうだな、日本は最先端技術と歴史を上手く調和させている国だから、そういうのが見たいな」 🐇「分かった。じゃあ、さっそく行こう」  ダンとレオンが会わなかった日々を埋めるように、お互いの国の状況を話しています。  その後ろから、レド🐰はピョン🐾ピョン🐾ついていきました。 (一体どんなところに連れていくのだろう?ちょっと楽しみ。今日はダンが頼もしく見える)  ニコニコしていたら、ダンが着いたよと言いました。 🐰「か、回転寿司!」 🐇「うん。お寿司は歴史があるし、皿を滑らかに運んで回る技術とアイディアは外国人には受けると思う」 🐰「……」  今日は何にも言わない日。抑えて、抑えて‥‥‥  さっそく中に。心配したのは杞憂だったようで、レオン🦁はオオッ寿司が回っていると大喜び。  いそいそと席について、レオンが回っている皿を指さして訊きます。 🦁「これは何ですか?」 🐇「フィッシュ!」 🐰「……」 🦁「じゃあ、こっちは何ですか?」 🐇「フィッシュ!」 🐰「……」 🦁「えっと……あれは……」 🐇「フィッシュ!あれも、これも、みんなフィッシュ!」 🐰「……」  レドは、今日は何にも言わない!
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