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床に伸び、犯罪者として暴かれた小谷の白い顔に目をやると、もう話すこともできないのか、俺を睨んでいるだけ。
あちこちで上がる呻き声をも放置した柏木さんは結城さんに向かった。
「それでもお前は自誓を貫くのか?」
問われた結城さんは柏木さんではなく俺を見つめた。
そして少し経ってから ふっと笑った。
「まぁ、、、そういうことだな」
「か、柏木さん、結城さんには人を殺さない理由が、、、
俺達にも言えないような、何かおっきな理由があるんだよ。
だからこいつは俺が、、、」
俺は震える手でナイフを握り直し、小谷に向けた。
するとそれを止めるように結城さんが口を開いた。
「チビ、俺は幼少期に殺人を犯している。
相手は一人や二人じゃない」
─ え、、、
「あの、今、、、なんて」
「お前が情けをかけてくれた『理由』ってのをどう言えばいいのか、、、」
結城さんは銃を下ろし、ホルターに収めながら首を振った。
そして『簡単に説明し切れるものではないけど』
と前置きして、
「世の中の多くの者は一人格で考え行動する。
けど俺の中にはもう一人の人格があって、どう扱ってもシリアルキラーか殺し屋にしか向かない奴が存在しているんだ」
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