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ふわぁぁぁあ。朝からいをりん♡と会えるなんて、私ってばラッキー♡
でも彼に気づいてもらうために目立つよう努力しているのに、全然目が合わないのよね。おかしいわ。
中学校も一緒だったのに、話したのはただ一度きり。それから、ただの一度も言葉を交わすことなく今に至るのよ……。
今だってせっかく同じ高校に通えているのに、クラスも違って絡む機会もなし。
このまま一生、見るだけで終わってしまったらどうしよう……!?
暗い未来に絶望を感じていると、いをりんのクラスの小柄な女の子が軽快な足取りでロッカーに入って来るのが見えた。
あの子、最近いをりんとよく一緒にいる子ね。
いをりんは基本一匹狼くんなんだけど、最近、女子とも一緒にいることが多いのよ。
もし私が同じクラスだったら、そのポジションは私だったかもしれないのに。えっ!? そうなの!? どうしよう、そんなの恥ずかしくて死んじゃう!!
小さな女の子がいをりんの背後に立ち、背中をちょいちょいとつつく。
!? 公衆の面前で何してるの!?
わりと激しめなボディタッチをかましたわねあの子。
私だっていをりんに触ったことないのに!
いをりんは振り向いてイヤホンを外すと、周りをきょろきょろと見回して小さくため息をついた。
そして女の子に顔を寄っ………!?
えっ。頭を胸に引き寄せ……引っ!?
はっあああああああああ?????
なっにしとんじゃワレエェェ!?!?!?!?!?
そこで見たのは、いをりくんが女の子の頭を抱いてなにかを囁いているシーン。
か、彼女!? う、嘘でしょ!? そんな情報は1mmも入ってきていないのですが!? し、信じないわよ!!?
指をかけていたスチール製の下駄箱が、みちみちと音を立てた。
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