第13話

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「……圭ちゃんと話した方がいいと思います。勝手に決めたら圭ちゃんが傷つきます」 『俺は圭の為を思って…俺だって別れたくなんかない』 「なら、尚更きちんと話してください。圭ちゃんが風呂から上がったみたいなんで切ります」 早坂から一方的に電話を切られて、政宗は苦々しい思いで携帯を懐に仕舞った。 早坂の奴……俺に向かって生意気な。 しかし、早坂の言ったことは間違っていない。圭の為に最善だと思っていても、圭自身の気持ちは確認していないのだ。 借金の件で圭は仕方なく俺と居るのではないか……。圭を無理矢理手に入れた政宗には、圭の愛情が義務感からくるものではないかと自信が無かった。 こんな風にウジウジ悩むなんて俺らしくないな……。圭のことになると正気ではいられないんだから困ったものだ。 齋藤の件がはっきりしたら、圭と腹を割って話してみるかと政宗は思った。 颯馬のところに預けるにしても、圭は物ではないのだ。勝手に決めて預ける訳にはいかないだろう。 圭が借金の件は抜きにして自分を選んでくれたら……。その時は覚悟を決めよう。危険はついて回るだろうが、命懸けで圭を守るつもりだ。 早まった行動をする前に、圭の本当の気持ちを確認しようと政宗は心に誓った。
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