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クレイシスさんもまた、僕のことを睨みつけるように見返してきます。
「オレがずっとお前の仲間で居続けるとでも思っていたのか?」
「思っています。
これからもクレイシスさんは僕たちの仲間です」
「勘違いするな。
お前と仲間でいたのは "お前を一人前の勇者にしろ" と、学校長との約束だったからだ。
お前が進級するならば、その約束は果たしたも同然だ。
もうお前に用は無い」
「本当にその為だけに僕のパーティにいたんですか?」
「そうだ」
「だったらなぜ──」
なぜ、ずっと今まで一緒のチームで居てくれたのか。
このチームに居たところでクレイシスさんにとっては何のメリットもありません。
それどころか僕はずっとクレイシスさんのお荷物的存在でした。
愛想がつきた気持ちは分かります。
これ以上一緒にいても疲れるだけなんだってことは分かっています。
僕は言い返せずにはいられませんでした。
「僕たちは色んな試験を試され、その度に合格してきました。
最初はなんでこんな僕にこんな最強の仲間が一緒なんだろうって、正直ずっと疑問に思っていました。
僕よりも優秀な勇者がクラスメイトにもたくさん居たのに、なんで僕のチームなんだよって、校長先生に言いたかったです。
でも試験を通して、僕はあることに気付きました。
最弱だからこそ最強の仲間たちを守れる勇者にならないといけないんです。
僕一人の力では絶対に成し遂げられないこともみんなの力を合わせれば、どんな最強の魔王だって倒せるんです。
クレイシスさんやみんながいてくれたから、僕はここまで頑張ってこれたんです」
クレイシスさんが鼻で笑って言ってきます。
「メンバーならオレが抜けてもいいように数合わせしておいたはずだが?」
無意識に。
本当に無意識というか反射的に、僕はクレイシスさんを殴っていました。
殴った僕の手がじんじんと折れたように痛く、それでいて小刻みに震えていました。
感情的になってしまったと少し後悔しましたが、僕は今この瞬間を迷いたくありませんでした。
心に詰まっていた言葉を一気にクレイシスさんに向けて吐き出します。
「だったら最初から僕のパーティに入るな!」
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