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電話しても出ない。
LINEの返事もない。
卑怯だ!
こんな大事なことを打ち明けておいて
私を避けて引きこもるなんて!
私はいいようのない腹立たしさに、頭をガシガシとかいた。
【…きっと、伸一さんは寂しかったのだと思います。奥様が相手にしてくれないから。だから代わりに私が…】
手紙の内容を思い出した。
夫が寂しい思いをしていたということに、思い当たるフシもあった。
下の子が生まれてからは、生後間もなく発症したアトピーの治療に追われて、ほとんど夫の相手をしていなかった。
もちろん夜の誘いもあったが、痒がってなかなか寝ない下の子をみていたので、とてもそんな気分になれなかったし。
どちらかといえば、私が寝不足で病院や治療で走り回っていることにねぎらいの言葉もないうえに、自分の欲求を押し付けてくる夫を疎ましく思っていた。
そうか。
それが寂しかったということか。
それは納得ができた。
私も心のどこかで、外で遊んでくれた方が楽だと思っていたことも事実だし。
でも、子どもができたなんてことは
話が違う!
産むための許可が欲しいというのも
意味がわからない
眠っている2人の子どもの間に、そっと入った。
「…マ、マ…」
下の子が、顔をかくのがわかった。
「ごめんね、起こしちゃった?痒いの?そっとなでてあげるから、ね、強くかいちゃダメだよ」
小さな手を握った。
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