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(あれ? こんな所にお金が落ちてる……)
ちょっとほろ酔い状態の男が、会社帰りの道を歩いていたら、道端にキラリと光るモノが――
(おや、あっちにも落ちてるぞ!)
道端のお金を拾おうとしてしゃがみ込むと、さらに向こう側にも光るモノが落ちているのが見えた。
(お! 向こうにもあるじゃないか)
酔っぱらって眠い目をこすりながら、よーく見ると……道には転々と光るモノが落ちている。その光るモノは道の途中にある狭くて暗い路地の中に続いていた。
点々と落ちているモノを拾おうとして、酔った男が歩き始めようとした……その目の前を、たたたたた、と若い女性がやって来て、すごい勢いで拾い始める。
男は、その女性の勢いに唖然としながら、ぼーっと見ていた。
その女性が、落ちているモノを拾いながら暗い路地に差し掛かったとき……
――突然、真っ赤な手がヌッと現れて――
その女性は叫び声もたてずに、フッと路地に消えていった。
男はびっくりして、ふらつきながらも急ぎ足で路地の入口まで行き路地を覗いてみたが、そこには真っ暗な道が続いているだけだった。
了
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