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夜中、目を開けると、心配そうに社長が私を覗き込んでいた。
いつの間にか、社長のベッドの中。なんだか、身体がだるくて……眠くて、顔を社長の胸の中にうずめる。
「社長…」
「大丈夫? ごめん、菜々…。最初は絶対大事にしようって思ってたのに、結局あんな盛大にヤキモチ焼いて、理性ぶっ飛ぶなんて」
その本当に後悔している声に、私は思わず社長の顔を見上げる。社長は苦笑した。そんな社長を見て、思わず笑ってしまう。
「私は途中から酔いもぶっ飛んで…心、読めてました」
「え…」
「あんな余裕ない顔も、心も…、はじめて見られて嬉しかった」
私は笑った。
社長はずっと私のこと大事にしてくれてた。それを知ってたから、社長にそういうことされても、私は怖くなんてなかった。
「まぁ…菜々もすっごいよさそうだったのはよかったけど。はじめてなのにねぇ…」
その言葉に思わず吹き出す。
「それ、私がすごい変態みたいですぅううう!」
「いいよ。変態な菜々、大歓迎」
「私は嫌です!」
いや、だってさ? だってさ。社長が私のことでヤキモチ焼いて、私のこと好きだって、全部自分のものにしたいって、ずっと心の中で何度も何度も言いながら、全身キスされてさ? それって、すごく嬉しいじゃん。
私は思わず数時間前のことを思い出して、社長の胸に顔をうずめた。絶対に今、顔が赤い。
そんな私を社長は強く、ぎゅう、と抱きしめた。そして耳に唇を寄せると、
「菜々、もう一度、抱きなおさせて。今度はうんと優しくしたいから」
という。
「…はい」
そんなの…答えはイエス一択しかない。目が合ってキスをされると、また私たちはベッドに沈んだ。
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