3. 安西琴葉

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「あと、異常なまでに彼氏から束縛されている、美人でスタイル抜群、読者モデルの沙也香ちゃん……」 そういや、河合沙也香の隣には、いつもべったりと彼氏である坂本が張り付いてた。 あれ、拘束してたのか……いや、異常な拘束ってどんなふうにだよ…… 「そして最大にして最強のラスボスは、生徒会長にして裏で学校を牛耳る絶対的女王かな。恐れ多くて名前も言えないよ。あの方には誰も近づくことすらできないし……」 なにそれ、めっちゃ怖いし…… 身震いしながら、拓真は次第に弱気になっていた。 神様から授かったスキルがあるとは言え、そんな強敵に通用するのかはまだ未知数だ。 「はあ。そんな濃いキャラの強豪女子がうちのクラスにいたとは……俺、勝てるだろうか……?」 すっかり肩をすくめて縮こまっている拓真の背中を、琴葉は思いっきり、ばん、と叩いた。 「しっかりしなよっ。”自分を信じて頑張れば、きっと夢は叶う”ってさっき君が言ったんだよ!」 そうだった。 いや、まさにその通りだ。 「う、うん。俺、頑張るからっ!」 拓真は改めて、拳を強く握りしめる。 そうだ、俺には果たさなきゃならない使命があるんだ。 恋愛バトルに優勝して、必ず葵を取り戻してやるっ! 右手の紋章から微かに光が放たれる。 そんな拓真の様子を、神は目を細めながら空から見下ろしていた。 「さあて、そのスキルをどう使うのかのう。楽しみじゃて」
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