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プロローグ
そこはどこまでも続く黄土色で荒涼とした土地を見渡せる台地の上だった。その男は頭にイガールの乗った白いシュマッグの布を巻き、同じく白いトープの服を着込んでいる。そして右肩には長さ二メートルほどの黒色に塗られた装備を担いでいた。
その台地から快晴の遥か上空を見つめている男の頬には砂混じりの乾いた風が打ち付けている。
「……あの飛行機雲か……」
彼は東の地平線に白い筋を見つけた。直ぐに双眼鏡で目標を確認する。
「……情報通りだな。バグラム空軍基地に向かうB2……」
それは、高度三万フィートを巡航しているアメリカ空軍の戦略爆撃機だった。
男はその機体を見つめながらニヤリと口角を上げた。
「それじゃ、『モンキー』を落として貰うぞ」
彼は徐に右肩の装備を回転させると砲口を上空に向けた。この最新式の『スティンガーX』は米国ZE製の携帯式地対空ミサイルだ。
モニターに機体をロックオンした表示が現れる。
「自国のミサイルで撃ち落とされて……。悪く思うなよ……」
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