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「ねりまゆうた君。だからユウなんだね。なるほど。よろしく練馬君」
壁のスイッチを入れる。
玄関のライトに加えて、二階へ続く階段のライトが点く。
「ユウでいいって」
練馬君は顔をしかめて言うと、俺の肩をポンポンと叩いてきた。
俺より明らかに年下だし、背も低い。黙っていたら女の子みたいに可愛い系なのにこの偉そうな態度。
「ぷぷっ。そっか。じゃ、ユウにしようかな? 二階へ案内するよ」
ユウは片眉を上げ、へらぁと笑い「ん」と、小さく頷いた。
俺も頷き、先に階段を登る。
二階はキッチンカウンタのあるリビングダイニングと、寝室の二部屋。リビングダイニングは十二畳。寝室は六畳半だ。
寝室の隣には風呂とトイレがある。
キッチンに入ると、ユウも一緒に入ってきた。カウンター越しに見えるリビングを顎で指す。
「風呂入れてやるから、ソファで座ってていいよ」
「えらくサービスいいんだね。じゃ、お言葉に甘えて」
ユウは上着も脱がないままボスッとソファに座って、ローテーブルに置いてあったリモコンを持ち、勝手にテレビを点けた。
それを観察しつつ給湯器のスイッチを入れて、エアコンも入れる。
コーヒー……は飲めなさそうだし、冷え切っているからココアとかホットミルクがいいのかな? でもそんな物はここには無い。
最初の警戒を忘れ、小さな鍋にお湯を入れながらソファでくつろぐユウを見て考えた。
うちにあるのはコーヒーと酒と、コーンスープくらいだもんなぁ。
「ブラックでいいよ」
テレビに目を向けたまま、考えでも読んだようにユウがポンと言った。俺は呆気にとられ、ハッと我に返った。
「あ、そうなんだ。コーヒー飲めるんだね」
鍋のお湯を捨て、コーヒーメーカーをセットする。
なんだか初めての生物に合った気分だ。世の中にはこういうタイプの人間もいるんだな……。
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