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「モト、一緒にやらね? アキはユキちゃんとやるみたい」
モトが誘ってくれたので頷いた。
しばらく待っているとおばさんが「やりたい子は並んでください」と言ったのでモトと並びに行った。
小学生のほとんどは参加していたけれど、中高生の多くはあまり参加していない。
一グループ二十回、ということでそこまで待たずに出番がやって来た。
おじさんから杵を渡されて二人で持った。ずっしりとした重みが伝わりニ、三歩よろめいた。
「大丈夫?」
モトがもう少し力を入れて持ってくれたので、少し軽くなった。
「はいゆっくり下ろしてね」
よいしょ、と杵を振り落とす。ズーンっとお餅を打った感覚が伝わって来た。ゆっくりと力を込めて杵をあげる。
「せーのっ」
ペッタン、ペッタン。おじさんたちほどスムーズでは無いけれど、二十回つくことができた。
「楽しかったな! この後は餅食べれるよ。あんこと、きな子、のり醤油に砂糖醤油があるんだ。後お汁粉もある」
全員がつき終わって少ししたらいよいよ実食だ。
せっかくだから初めてのお汁粉に挑戦することにした。
粒あん、突き立てのお餅が浮かんでいる。
ユキちゃん曰く、お汁粉の呼び方は地域によって異なるらしい。
関西ではぜんざい、と言うようだ。
アキを除いて一班は皆、お汁粉だった。
一口すすると甘い味が口に広がり、疲れた体に染み渡った。
突き立てのお餅はとても柔らかく、朝食べたお餅よりうんと美味しい。
「美味しいね」
「きな粉も美味しいよ」
アキは口周りにきな粉をつけて笑っていたので、思わずみんなも笑ってしまった。
慌てて笑いを堪えて俯いた。やっぱり、目立つのは苦手で怖い。
「茶色の髭のサンタがいるぞぉ」
モトはそう言いながら優しく拭ってあげていた。
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