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わたしが、
何か大切なことを
言おうとして口を
開いた瞬間、
一之瀬がいきなり
冷たい表情になって、
感情のこもらない声で
囁いた。
『さ よ な ら 。』
「っ!!!??」
気付いたら、
体が飛び起きて、
肩で息をしていた。
え、
まって、頭が混乱してる。
一之瀬はわたしに
さよならって言った?
ちがう、それは
わたしが一之瀬に言った
言葉―――――・・・・・
じゃあ、わたしのほっぺに
手を添えたのはただの夢?
・・・ちがう、
これは現実にあった。
冷や汗が、首筋を伝う。
あんまり生々しい夢で、
リアルとの区別が
めちゃくちゃに
なったんだ・・・・・・。
「っ・・・きつ・・・」
布団の中に潜り込んで、
わたしは顔を歪めた。
一之瀬に、
はっきり突き放された。
『神田が誰と何しようと、
俺に関係ないし。
好きにすれば?』
この言葉を聞いた瞬間、
体中の力が抜けて、
頭が真っ白になって、
今までの一之瀬との
思い出も何もかも、
全部壊れていく気がした。
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